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TopInterview|20xx年 未来の働き方 岡村アルベルト 代表取締役(前編)

2020.12.07 | George&Company,Inc.

「世界から国境をなくす」のは不可能ではないのかもしれない。そう感じさせる経営者は株式会社one visaの岡村アルベルト氏だ。同氏が手掛けるone visaのサービスは外国籍の方を採用した際に必要となるビザの取得を支援するWEBサービスを企業に提供している。また、4月からスタートした新しい在留資格である特定技能にも対応し、海外で教育を行った方を日本企業に紹介する。紹介後も就労に必要な支援を行っていくものだ。

日本で働く外国籍の方々のビザ取得のプロセスを簡略化する画期的な同社のサービスは、どのように我々の未来の働き方を変えていくのだろうか。岡村氏が描く「未来の働き方」の世界とは?若き経営者の原体験から生まれた世の中を変えるサービスとは?どのような未来が待っているのだろう。

株式会社one visaのサービスとは

青山:とても複雑な印象のある外国籍の方の採用に際してのビザ申請。そのプロセスをITで簡略化するone visaに関してご説明を頂けますでしょうか。また、こちらのサービスを手掛けるに至った「原体験」とはどのようなものだったのでしょうか?

岡村アルベルト氏(以下、岡村):まず私からお話ししますと1991年に産まれ、6歳で来日しました。ペルーから来た時の印象は、すごいキラキラした日本というのを覚えていますね。先進国でありとあらゆるものが凄い国なんだな、と。その後、日本の生活は外国籍だった自分にとって対役所、対国への「届け出」の難しさや、イジメ、差別等良いことばかりではなかったんですが、総じて日本に来れて本当に良かったなと感じていました。

ただ、自身にとって転機となったのは小学校の時に起きた友人の強制送還。この国で住み続ける事を保つことの難しさを感じるきっかけとなりました。

大学卒業後は品川の入国管理局から委託を受けている会社でビザに関わる仕事をしていました。現場責任者としてビザ取得のお手伝いをする仕事だったんですが、その際に仕組みの煩雑さ等を感じ、外国籍の方々がビザに関する悩みや不安をなくすことが出来るようなサービスを作ろうと決心したのが起業のきっかけとなります。

「one visa」は外国籍の方を採用した際に、生じるプロセスを簡略化したサービスで、例えば人事が行う作業は多岐にわたります。ビザ取得に必要な情報の収集や、書類の生成、採用予定者が海外にいる場合は、人事が入国管理局に申請をする必要もあります。one visa を使用頂くことで書類生成に必要な情報収集を変わりに行い、わかりやすい入力画面を埋めることで、書類も生成されます。また、システムの中から提携行政書士に申請の依頼をすることも可能です。one visa は従来の煩雑なビザ取得業務をスムーズにすることで、人事をサポートできるサービスです。

青山:これまでの既存サービスとの違いはどのような違いがあるのでしょうか?

岡村:端的にいうと、これまでですと行政書士の先生の方々がビザの取得支援が得意で、今もなお対応されています。その他、民間の会社がお仕事を紹介しますや、外国籍の方々の与信審査をいたします、と。ビザ取得にまつわる単体の既存サービスというものはたくさん存在していたものの、繋がっていなかった。one visaはビザに取得に関しワンストップで支援をしていき、ビザ取得に関する情報を起点に外国籍の方々が必要な情報を、その情報を必要としている方々に展開しコネクトしていくというサービスですね。例えば与信が判断できなくてお困りの企業様があれば我々で情報を精査してフィルタリングをし提供したりと。その国で暮らし続ける外国籍の方々の環境の支援をし、安心して住み続けられるものになっています。

|「#日本から国境をなくす」

青山:また、コロナショック以降で日本に住んでいる外国籍の方々をサポートする#日本から国境をなくすプロジェクトはどういったものになりますでしょうか?

岡村:経緯でいうとツイッターで上がっていた外国籍の方々に対する支援や給付に関する意見を目にしたことに依ります。ただ、意見によってはファクトベースというよりはあくまでもイメージでのものも多く、正確な情報が行き渡っていない印象というのもあり、又、実際に困っている外国籍の方々がいらっし数多くいらっしゃるのがわかっていたのでプロジェクト化しました。

また、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、政府からは金銭面でのサポートを含む100以上の支援策が発表されましたが、その多くは支援対象を広く設けている一方で、難解な日本語による発信が大半を占めており、外国籍の方々が情報を受け取れずに困っているという声を多々、耳にしました。

そこで「one visa」Wovn Technologiesは情報を多言語で、わかりやすくまとめ、一元発信する「#日本から国境をなくす」プロジェクトを発足したんです。

#日本から国境をなくすプロジェクト(one visaホームページより)

岡村:「#日本から国境をなくす」というプロジェクトの記事をご覧いただき、少しでもみなさんが新たな情報を受け取れ、大変な状況から抜け出せる人がいると嬉しいですね。記事を見ても分からないことがあれば、one visaのコンシェルジュがサポートもしておりますので。

 

|one visaが創り出す「未来の働き方」とは

青山:one visaが創り出す未来の働き方とはどのようなものでしょうか?

岡村:そうですね、場所にとらわれず生きていける環境をつくるということだと思うんです。これは特に個人的にやりたい事でもありますが。現状ですと、国をまたいで移動するのはハードルが高かったりと。そのハードルが一律でフラットになる社会が望ましいなと感じています。

日本においても地方自治体が居住を促すような施策をやっていたりしますが、グローバルワイドで自分が主体的に選べるような環境を作っていくことでしょうか。ただ、やはりそこで必要になってくるのは、例えば国をまたいだ際にクレジットカードの与信枠が心配であったり、ビザの問題ももちろんそうですね、「制度面」をサポートしていくことが根幹であったりします。そして、それらがすべてしっかりと整った時に、「人類最適化計画」のようなものになるかもしません。

いまでも日本内で起きているような「大阪に移って仕事でもするかな」のような感覚で、グローバルワイドで自分が移りたい場所で仕事や生活が出来る環境が理想です。つまり、それは将来的に国をまたぐハードルが下がった時に、「日本」が選ばれ続ける国であって欲しいと願っています。

|○○系日本人

青山:そのような世界が実現した際、特に日本はどのような社会になっているのでしょうか?

岡村:例えばですが、○○系日本人という言葉が浸透していると嬉しいかもしれないですね。南米系日本人、とか。ルーツは違うけど僕ら一緒だよね、みたいな。

青山:なるほど。

岡村:日常会話の中で「隣に中国人が住んでいるよ。」という言葉が現状だとすれば、「隣に陳さんが住んでいるよ。」といった感じです。誰かが他の人にその人を紹介するときに名前というか「その人」として見れるのかどうか、それが当たり前のようになっている社会が良いのかなと感じています。それが当たり前になっていると日本もグローバルで選ばれる国になっているのかもしれません。そういったマインドが持てるかどうかは本当に重要な事だと思います。

僕らが導き出したい未来はシンプルで、産まれた場所ではなく生活をする場所を軸に自分たちのつながりを大切にする、そういった環境になって欲しい。あなたは「どこどこの人だよね」ではなく、一緒に日本で暮らしている一緒に日本に貢献している仲間だよね、と。違いではなく共通点が重要視されフォーカスされる世の中を創っていきたい。

産まれたところで人生が決まるのではない、そういう世界であって欲しいと切に願います。

(後編)

➀岡村さんが考える「未来の働き方」とは?

②未来はハッピーか?

岡村アルベルト|1991年ペルー生まれ、大阪育ち。日本とペルーのハーフとして生まれ、6歳で来日。 幼少期に友人が強制送還された経験からビザに関する問題を解決すると志す。 大学卒業後、東京入国管理局の窓口で現場責任者を務め、年間2万件を超えるビザ発給に携わる。2015年に起業し、2017年6月にビザ取得サービスである one visaをリリース。