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TopInterview|20xx年 未来の働き方 岡村アルベルト 代表取締役(後編)

2020.12.07 | George&Company,Inc.

株式会社one visaが手掛けるサービスは今の日本が抱える社会課題ひいては近い将来起きるであろう大きな「我々の働き方」に関する重要なテーマを投げかけているようにも映る。既に日本を支える外国籍の方々の就労人数は165万人という数に上っているが、一方、業種によっては深刻な労働力不足にも陥っている。また、少子化の問題もあり、日本の労働力人口が現在の6,500万人から2050年には約5,000万人になるであろうと言われている。

世の中の本質的な課題に対し、強い原体験から「起業」によって解決に向けひた走る若きイノベーターは、「未来の働き方」をどのように考えているのだろうか。

|岡村さんが考える未来の働き方

青山:岡村さんが考える未来の働き方とは?どんな風に世の中が変わっていくのか?ざっくばらんでも構いませんので。

岡村:繰り返しになりますが、「国にとらわれない働き方を創りたい」ですね。唯一ハードルになっていた出社や対面での仕事という物理的なハードルが下がってきている中、同時に国をまたいで移動するハードルというのも下がると思うんですよ。なぜなら会社を変えなくて済みますし。今後より一層、企業によってハイブリットでの働き方を選べるようになっていけば、「今ここのエリアに住んでいるから、ココに住み続ける」ではなく、「自分たちが暮らしたい場所に住みたいから、ココに住み続ける」に変化していくんだと思います。そんな、自分が生活の基盤を置く場所を選べられるような環境にしていきたいですね。

青山:最近ですと、スタートアップも従来の東京を拠点とするいう動きから、地方発という企業も出てきていたり、また、コロナ以降、東京から地方へ移転する企業も話題になったりしています。リモートワークも含めて、今後、こういった動きは加速していくと思いますでしょうか?

岡村:大切なのは会社単位ではない前提及び、企業が制度を作るかどうか、オフィスをもつのかどうかというのを分けてお話しすると、リモートワーク自体は加速していくんだと思います。また、個社ごとのリモートワークの率が重要というよりは、前例が出来たことが大きいのかと思います。つまり、今後の採用活動の中でも一つのベンチマークとなる指標となりますから、企業選びの一つの判断軸として見られるんだと思いますね。

|マイナンバー制度について

青山:ちなみにあればですが、岡村さんが現在着目している技術や制度というものは何かございますか?

岡村:そうですね、コロナショックでの台湾の事例と比べても、特に日本の現状はマイナンバー(※取得率約16%:2020年)の仕組みがうまくいっていないのかなと感じています。実際、今回のコロナショックでの給付申請での混乱のニュースも目にしましたし。ただ、政府と地方自治体における関係図として難しい部分があったのかとも思いますが、そこの繋ぎ込みがうまくいっていれば今回の給付金のスピードの問題等もクリアになっていたのかとも感じています。有事の際は、特にですが、対面のみではない仕組みづくりが必要だと考えております。

それこそ、マイナンバーもグローバルで統一された規格がそれぞれの国の中で繋ぎ込みがされていて、例えば国をまたいで移動する際に本人のストレージとして、保管庫のようなものとして利用できればより一層国にとらわれない働き方になるのかなと。もちろんプライバシーの問題もあったりすので、自分で開示したい情報はここまで等、管理出来たり。そういったものがあれば魅力的ですね。

|未来の地球人

青山:こんな世界が実現すれば良いなとすれば?SF的な発想でもなんでも自由に。

岡村:う~ん、例えばですが、成人するときに「国籍」が選べるなんて良いのかもしれません。

青山:なるほど、良いですね。

岡村:例えば、義務教育までは国連が管轄をしていて、成人になったら自分で好きな国籍を選べる。自分の価値観的には「日本」にしようかな?「ドイツ」にしようかな?等。やはり、根底にある考えとして産まれた場所ですべてが紐づけられるという事がない世の中が良いと思っています。場所で紐づけられる「人」の生き方とは、その国の豊かさでおおよそ決まる可能性がどうしても高くなってしまいますので。男女の違い等もそうですが、産まれながらに変えられないもので自身の将来の可能性が狭められない世界が理想ですし。

|未来はハッピーですか?

青山:それでは最後の質問ですが、未来はハッピーだと思いますか?

岡村:未来はハッピーじゃないですかね。楽しさが先にないと走れないと思いますし、そういうのがないと未来だと思えませんので。

青山:なるほどそうですね。ただ、人によっては未来の見通しが立たない、これからは良いことばかりではない等、言う人もいたりしますよね。

岡村:それでいうと、僕の中で未来の定義で言えば不確定なハッピーな事が起きるのが未来なんだと思いますもちろん現状のファクトベースから想定値ベースの将来というのはあるでしょう。それは実際そうで不安な要素があるのかもしれません。

ただ、「未来」ってその中でわくわくする事や楽しいことの要因を見つけられるのが「未来」だと思っています。生きる事そのものが未来なのかもしれません。

~Thoughts~

岡村さんとお話しをする中、一つのイメージが頭の中によぎる。それは暗い宇宙の中に奇麗で鮮やかな青い球体、地球が浮かんでいるイメージだ。ワンプラネット。彼が描く未来の世界はとてもフラットで誰もが平等に扱われる社会。「生まれた場所」に関わらず、誰もが等しく機会を得られる世の中。「人」として産まれて何の違いがあるのだろうか、いや、何もないだろう。

現在、アメリカに端を発した人種差別問題に関するムーブメントが世界中で起きているが、個人的にもとても胸が痛む思いだ。私はロンドンで2年半に渡り生活していた経験がある。フラットでの生活はアフリカ系ロンドナーのご家族と共に過ごさせていただき、本当にお世話になった。とても家庭的な暖かみのあったクリスマスパーティーが今も懐かしい。現在もWebで連絡をしている。そこにあるのは「人同士」の交流だ。これも私の原体験なのだろう。

one visaが解決しようとしている社会課題は対岸の火事ではなく待ったなしの日本に住む我々の未来の働き方に直結したものであると感じる。そして、それは日本国内のみならず、世界中の至る所で起きているグローバルでの課題なのかもしれない。

産まれた所でその人間の一生が決まってしまうような世の中ではなく、フラットで開かれた世界で自由な選択肢が用意されている社会が当然なのだと思う。選ぶのは我々だ。

そして心の国境がなくなった時、我々(人類)は次のステージに行けるのかもしれない。そう感じた。

岡村アルベルト|1991年ペルー生まれ、大阪育ち。日本とペルーのハーフとして生まれ、6歳で来日。 幼少期に友人が強制送還された経験からビザに関する問題を解決すると志す。 大学卒業後、東京入国管理局の窓口で現場責任者を務め、年間2万件を超えるビザ発給に携わる。2015年に起業し、2017年6月にビザ取得サービスである one visaをリリース。