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Top Interview|20xx年 未来の働き方 DEA社 CEO椎名茂(後編)

2020.11.01 | George&Company,Inc.

DEA社が手掛ける「新たな経済圏」は、確実に未来の働き方を変えていく予感がする画期的なものだ。AIの研究者からキャリアを始め、グローバルコンサルティングファームの代表まで務め、様々な経験をされてこられた椎名さんご自身はどのように「未来の働き方」を考えているのか。希代の経営者が描く未来の働き方とは。

|椎名さんが考える未来の働き方とは?

青山:未来の働き方はどうなるのか?ざっくりとでも構いませんので、いま、どのようにお考えでしょうか?

椎名:大きく分けると3つあって、1つ目は自己啓発、自己成長、世の為人の為にやるようなもの、2つ目は「楽しいこと」をやってそれが対価につながるようなもの、3つ目は、いわゆる単純な労働。ただ、今後は単純な労働はどんどん減っていって、1つ目、2つ目がどんどん増えていくんだと思うんですよ。今だって、実際、趣味で生活が出来る人がいたりしてe-スポーツのプロとかYouTuberなんかもそうだと思いますが。

いずれは全てがバーチャルの空間でデジタル通貨を使って生活をするようになって、むしろ未来の働き方は辛い仕事ばっかりっていう風にはならないのでは、とも考えています。人によってはやりたい仕事がなければどんどん作っていくのかもしれません。生活そのものがもっと楽しいものになるんだと思います。

ただ、デメリットはその世界にはまってしまう人も出てくる可能性も大いにあるのでリアルとバーチャルがしっかりと行き交いするような仕組みが必要であるとも感じています。

|イノベーションが生まれにくくなる可能性

何かが生まれる時というのは「知」と「知」との掛け算。何もないところから生まれるという事はないので。だからこそダイバーシティーが求められるのは当たり前の流れだと思います。多種多様な考え、意見、価値観等を持った人間が交流することで新しいものが生まれるんだと思いますね。ただ、現状、オンラインのみだと雑談がなくなっていくことによって、雑談空間をうまくつくることが今後は必要になるのではと思います。

|未来はハッピーか?

青山:最後の質問ですが未来は「ハッピー」だと思いますか?

椎名:もちろんハッピーですね。

青山:即答ですね(笑)

椎名:青山さんが生まれた時代ですと「変化」を感じ取れないのかもしれません。

青山:つまり?

椎名:私が産まれた時代や私の親の世代は現代当たり前にあるような車、TV、PC、携帯電話、インターネット等はなかったですからね。もちろん貧困の問題等それ以外にもまだまだ解決出来ていない社会課題は数多くありますが、総じて生活レベルそのものは上がっているのではと感じています。それを踏まえて考えてみても過去に戻りたいと思いますでしょうか?

青山:おっしゃる通りですね。戻りたいと思わないですね。

椎名:ですので未来に向かって人類は着実に進歩をし、より良い社会になっていくのではと感じています。

|人の交流の総量は増えていく

青山:でも、リアルからバーチャルへとシフトしていくと、対面での接点がなくなることで関係性の希薄さにつながる懸念もあると感じますが、いかがでしょうか?

椎名:人間はリアルでの行動を起こすために工夫をするんだと思います。むしろ希薄さとは逆で昔より人的交流がどんどん深まっていくんだと思いますね。

青山:つまりどういう事でしょうか?

椎名:例えば、対面のみでの出会いなら出会って終わりという関係性というのがこれまで数多くあったかと思います。青山さんと私が過去に対面でお会いした。もしSNSがなかったらもう一度今みたいにお会いできますか?

青山:難しいでしょうね。

椎名:しかしSNSの発達によって、例えば一度会った人がSNSで改めて連絡を取り合ったりすることで再会するという機会が創出されるように。かつてSNSがなかった時代と比べて上手く活用すれば交流出来る土壌があるのが現在ではないでしょうか。ただ、取り残される人や馴染めないという人がいるのも事実なので、うまく社会全体がカバーをする仕組み作りを忘れてはいけないでしょうね。

~Thoughts~

椎名さんはAIの研究者として多くの論文の執筆や特許の取得を行っていたキャリアを持つ。その後、AIを実社会に応用したいという想いからコンサルティング業界に転身。経営戦略立案、デジタル改革を中心に大企業へのコンサルティングに取り組まれた。その後、経営トップへと。

以前お会いした時に、コンサルティング業界に転身されたばかりの頃の話をお伺いした記憶が蘇る。ベンチャー環境下だったので契約書一枚の作成も自分で一からやっていたんだと、嬉しそうに苦労話をされていたのがとても印象的だった。今回も、スタートアップならではの苦労話や、DEA社についての数多くの質問にもユーモアを交えつつ丁寧に説明をして頂けた。すべての事象におけるPros&Consをフラットな考えのもとに。そしてすべてが的確だった。

かつて、椎名さんにチームで仕事をする意味についてお伺いした際、「一人で見る夢は夢で終わるが、仲間と見る夢は希望に変わる」と仰っていた。今まさに世界を変えようとしているスタートアップで、仲間と共に汗を流しながら新しい夢を見ているのだろう。1点の曇りもないその表情から既により良い社会へ変容させていっているという自信と共に、希望を見出しているのかもしれない。

明るい未来の働き方はそう遠くない将来にあるのかもしれない、そう感じられた。

椎名茂|プライスウォーターハウスクーパース代表取締役社長、KPMGコンサルティング代表取締役副社長を歴任後、Digital Entertainment Asset Pte.LtdのCEO。慶應義塾大学理工学部訪問教授, 日本障害者スキー連盟会長。