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TOP Interview|20xx年 未来の働き方

2021.02.09 | George&Company,Inc.

TOP Interview|20xx年 未来の働き方 株式会社miraism 岡山永徳 取締役副社長 CMO(前編)

どんなビジネスでも、本質的な課題はとてもシンプルで、時として「解」は既に身近にあったりする。ただ、それに気づくことができるのは、視座を高め、事業全体を俯瞰しながらも、上流から下流のすべてを愚直に経験してきた者だけなのかもしれない。

 

『働く「人」と「会社」のリデザインで世の中をより良く。未来をより面白く』というコーポレートミッションを掲げる株式会社miraism(設立:2020年)のCMO岡山永徳氏は、同社が手掛けるWebコンサルティングサービス【SANBOU】事業を統括している。

 

岡山氏は、上場企業2社と広告代理店で数億から数百億円単位のWebマーケティングを担当した後、既存事業の成長や新規事業の立ち上げなどを戦略面から推進する経験を積んだ。マーケターとして携わってきた業界は、旅行、人材、不動産、ゲームアプリなど多岐に渡り、企業規模もベンチャーから大手企業まで様々である。

あまりに早いスピードで技術革新が行われるため、「ドッグイヤー」とも呼ばれるWebマーケティング業界。その中で岡山氏は、多様な経験と実績で顧客からの信頼を獲得し続けている。

そんな岡山氏が描く未来とは?今後、Webマーケティングの世界はどのように変わっていくのだろうか?

 

|Webコンサルティングサービス「SANBOU」とは?

青山:御社で手掛けているWebコンサルティングサービス「SANBOU」とはどういったサービスなのでしょうか?

岡山永徳氏(以下、岡山):広告運用、SEO、CRM、サイト分析、サイト改善など、Webマーケティング戦略・施策の立案~実行までをご支援するサービスです。私も含めて「SANBOU」に携わる当社メンバーはWebマーケティング全般に精通しております。これまでの経験を生かしながら顧客のWebマーケティング課題解決に尽力させていただいております。

青山:これまでどういった案件を手掛けてこられたのでしょうか?

岡山:この1年間で約20社のご支援をさせていただいております。業種や企業規模を問わず、Webマーケティングに関する多種多様な内容の相談をお受けしていますね。Web上での集客に関するご相談をお受けすることはもちろん、事業そのもののコンサルティングをさせていただくこともあります。また、リスティング広告を担当者の方と伴走しながらご支援したり、CRMの考え方をお伝えしたりなど、施策実行に対する直接的なご支援も多くさせていただいております。

|Webマーケティングにおける企業の課題

青山:日頃コンサルティングをされている中で、Webマーケティングにおける企業の課題はどのようなところにあると感じますでしょうか?

岡山:大きく分けると2つありますね。1点目はモニタリング(ものの見方)に対する課題です。自分たちの仕入れ(集客など)がどのように売上に転化しているのか、どの程度効率的なのか等、正しくモニタリングできていないことが結構多いんですよね。

青山:それは施策云々の前の基本的な話ですね。

岡山:そうなんです。基本的なことではあるのですが、これができていないことは本当によくあるんです。例えば、マーケティング部門や営業部門が個々の解釈で指標(KPI)を見ていて、部門同士が繋がっていなかったりするケースです。「ものの見方のずれ」が起きてしまっている状態ですね。そうなってしまうと、事業としての最適解や最適手法を導き出せず、それぞれの部門のKPIは高まっているのになぜか事業は伸びない、などという事態に陥ってしまいます。

2点目は、「戦略やテクニック論等の“筋論”に目が行き過ぎてしまう」という課題です。ここ何年間を見てもWebマーケティングの世界では科学が進んでいて、その世界での定石が既に出来上がっていたりしますが、定石があるならみんな成功するはずなのに、そうならないのはなぜでしょうか。私は、成功のカギは「定石を愚直にやれるか」という「実行への拘り」にあるんだと思うんです。筋論に目が行き過ぎてしまうと、ここに目が行かないことがよくあります。

青山:なるほど。これも非常に基本的なことのように思いますね。

 

|上手くいっていない企業「あるある」

青山:個社ごとに課題は多少異なるかとは思いますが、どのような企業が先ほどおっしゃったような課題を抱えているのでしょうか?

岡山:モニタリングの課題は、「左から右に流れていくサービスフロー」の企業様が抱えているケースが多いですね。人材業界、不動産業界などが該当します。お客様が個人情報を登録した後、何かしらのコンタクトを経て営業へ行く、といったタイムラグが発生するようなサービスです。ECサイトなどは逆にタイムラグがそこまで発生しませんのでモニタリングもシンプルかと思います。

登録から売上に至るまでのタイムラグが発生するサービスでは、例えば1月の数字結果に対して、それと直接関係のないKPIを分析したり、1月単月のKPIから原因追求したりなど、本来指標としなければいけないKPIを捉えずに事業を見てしまっていることがあります。「事業の構造」に対してあまり意味を為さないカットで数値を見てしまうと、誤った判断をしてしまうことも起こり得ます。

青山:なるほど。どういった企業や組織がこの課題に直面しやすいと思われますか?

岡山:企業規模は問わず、マーケティング部門だけで事業が完結しない企業様は直面しやすいのではないでしょうか。また、意思決定を担うメンバー、サポーターの中にWebマーケティングに精通した人材が不足している組織でも起こりやすい課題かと思います。

 

|戦略以外はすべてオペレーション

青山:先ほど、「戦略やテクニック論等の“筋論”に目が行き過ぎてしまう」というお話がございましたが、こちらはどういった企業が直面しやすい課題でしょうか。

岡山:特定の業種や企業様が直面しやすい、という印象はありませんが、敢えて申し上げるならば、個人情報を数多く保有し、それらを余すことなく価値転換していこう、と考えるようなビジネスでは直面しやすいかもしれませんね。実際は個人情報をお預けいただいたお客様がすべて価値転換されるわけでもなく、逆にほとんどが反応しないお客様だったりもしますが、セオリーは美しいので、マーケティングの勉強をしている人間であればあるほど、ついついそれに目が行ってしまいがちです。

あとは、何かしらのセミナーやブログなどで取り上げられているようなテクニック論を重要視しすぎてしまう例などもありますね。これも勉強熱心なマーケターが陥りがちな罠です(笑)。

また、これはあくまでも私見ですが、「戦略」という言葉を使いすぎると「実行」しなくなってしまう、という印象があります。

青山:それは興味深いですね。どうしてでしょうか?

岡山:大前提として「戦略」はとても重要です。ただ、戦略だけではビジネスは成り立ちません。ほとんどの場合、その戦略を成功させる為にはある種「泥臭い」オペレーションが必要なんですよね。「美しい戦略」を描けてしまうと、何となくそれだけで成功したような気分になってしまい、実行が担保されず、結果として成果を出せない。そんな例はたくさん見てきています。

戦略を描けることもマーケターとしての重要な能力のひとつあることに疑問はありませんが、「その戦略を実現するために汗をかけるかどうか」の方が実は重要で、初めの設計(≒戦略)が終わったら、いかにそれを愚直にやれるかどうかなんですよね。

結局のところ「このマーケットにこの商品を売ります」と決めたことがすでに戦略であって、それ以外はすべてオペレーションだと思うんですよね。「このマーケットでこの商品で売るんだ」と決めたことを、「あらゆる手段を通してやり抜く」のがとても大切なことなんです。例えばメルカリさんやグノシーさんなど、戦略性で成功したと見えるような企業であっても、決して美しい戦略だけでは成功できず、「泥臭いこと」を本当に頑張った結果で今があるんだと思いますよ。

|今後のWebマーケティングの業界とは?

青山:Webマーケティング業界の展望について岡山さんのお考えをお伺いできますでしょうか。

岡山:「どっちに行くのかな?」と漠然と考えています。あくまで予想ですが、5Gや高速通信技術の発達に伴い、10年以内ぐらいには眼鏡をかけると目の前にリアルなオフィスがあり、ホログラムのような人がいる、といった環境は作れるんだと思います。

現在は、スマートフォンを通してWebやアプリが見られていますが、今後は眼鏡を通してWebやアプリを見ることで消費行動が完結するような「世の中全てがWeb」のような世界がやって来るんじゃないか、ということです。企業の立場で見ると、物理的な距離はより一層短くなって、広告を見せる手法も増え、色々な場所で数多くの個人情報に細かくターゲティングするようなチャンスが生まれてくるのではないかと思います。

一方で、昨今では個人情報取得や活用に関する法律や規制がより一層厳しくなってきています。これまでは個人情報へのターゲティングが容易で費用対効果が良かったのでWebマーケティングが伸びた背景がありますが、個人情報の取得や活用が難しくなると、昔のマスメディア的な手法や、リアルでのダイレクトマーケティング手法などに原点回帰する可能性もあるのではないかとも思うんですよね。

青山:確かに、既にWeb上での個人情報取り扱いに関する諸問題はニュースで拝見いたしますね。

 

|これからのWebマーケターに必要なものは?

青山:お話いただいたような世界で、これからのWebマーケターにとって必要なスキルや経験はどのようなものになるとお考えでしょうか?

岡山:将来的に、様々なことがある程度自動化されていく世界になると思われます。その中で特に必要な人材は、統計学や統計処理の知識・経験のあるエンジニアになると予想されますので、既存のWebマーケターへのニーズは減少するかと思います。そうなると、Webマーケティングのスキルセットをベースに持ちつつ、AIでは相対的に難しいであろう「事業の可視化、モニタリング、課題の発見と解決」といった、「“事業感”を持ち、数値を見ながら事業を推進していく」スキルを身に付けていくのが良いのではないかと思います。

Webマーケターは、実行能力が高い事業家の横にいるイメージで、降りてきた戦略に対して、事業を理解した上でいかに合理的に実行に移せる(PDCAを回せる)人材であるかどうかが重要だと考えています。

青山:現状よりもある種レベルアップしていかないといけない印象ですね。

岡山:そうですね。自動化が進むと、大手で大きなお金を扱うようなWebマーケターは必要なくなります。そういった方々は先ほど申し上げたように、事業の中心に寄っていった方が良いと思います。ただ、3~5年後ぐらいであれば、既存のWebマーケターが活躍できるフィールドはまだまだあると思います。短期的には今持っているWebマーケターとしてのスキルを磨きつつ、事業においてモニタリングや意思決定がどのように行われているかを知ることができるような機会を多く持っておくことが大事なのではないでしょうか。

 

|「すぐできる」改善とは?

青山:Webマーケティングの観点から、「ここはすぐに改善ができる、した方が良い」というものがあればアドバイスいただけないでしょうか。

岡山:状況は各企業様で違うとは思うのですが、それを踏まえても一択で「LPO」、ランディングページの改善です。人材業界(転職)でのリスティングを例に挙げれば、一定のレベルになると、刺さるキーワードの差分ってほとんどないんですよ。そうなると、いかにLPを改善していけるかどうかにかかってくるんですよね。ただ、そういったことに気付いて改善している企業様は意外と少なくて。肌感ですが、100社あったら5社ぐらいしかしっかり改善に取り組めていないという感じです。

リアルの店舗に例えて言うなら、お店に入った後がすごく重要で、お店に入ったお客様に買っていただける、買いたいと思っていただける店舗にしておくのは当たり前だと思うんですね。お店を清潔に保ったり、売りたい商品のPRをしたり、レジへの導線を整えたり、色々しますよね。それがなぜかWebになると、目先のPVに目が行きやすく流入を稼ぐことにやっきになり、その後のLPを改善しようと思わない。費用対効果を本当に見ようと思ったら、見られた後に「決めきる」かどうかがすごく重要なんです。LPの改善にはすぐに着手した方が良いと思います。

青山:直近で岡山さんが手掛けられたLP改善での実数値としての成果を教えていただくことはできますか?

岡山:大手企業でCVRが250%程度改善した事例は多数あります。少なくとも150%程度は改善できます。ただ、それだけ皆さん実際は何もやっていないというのが実情なのかもしれませんが…。単純に言うと、CVRが2倍になれば売上が2倍になります。多くてもせいぜい数十万円の投資で2倍になるならやらない手はないと思います。

青山:それだけの数字が伸びるのであれば非常に価値が高いですね。

岡山:もう一つLPOでアドバイス差し上げるとしたら「頻度高くやる」ことをお勧めします。「LPOをやっている」というお客様にお伺いすると、3ヵ月や6ヵ月に1回ぐらいしか改善を回していなかったりしますが、私が事業会社にいた頃は、1日に1回は実行していました。そこまでやれとはなかなか言いづらいですが(笑)、1週間や2週間で集中的に回していく必要はあるかと考えています。

 

|「やり尽くしている」と思う企業ほど相談してほしい

青山:どういった企業が岡山さんに相談したら良いのでしょうか?

岡山「やれることはやり尽くしているのに集客が伸びない」といった企業様はお声掛けいただければと思います。まだ伸びますので(笑)。

青山:頼もしいですね(笑)。

岡山:本来であればまだまだ課題はあるのに、「やり切っている」と自分たちで思ってしまうと、なかなかそれ以上は伸ばせないものです。そんな時こそ当社に頼っていただきたいですね。当然個社ごとに課題が異なると思いますので、一度お会いしてお話をお伺いした上で、カスタマイズしてハンズオンで対応をさせていただきます。

 

<後編に続く>

・岡山さんが歩んだキャリアとは?

・事業の視座

・未来はハッピーか?

 

岡山永徳|大学卒業後、広告代理店に入社しWeb広告運用担当としてキャリアをスタートした後、日本有数のデジタルマーケティングカンパニーに転職。月間5億円に及ぶWeb広告費を持つクライアントのプロジェクトにジョインし、コンサルタントとして活躍。その後、株式会社エス・エム・エス(エス・エム・エスキャリア)に入社し、Webマーケティングの実務担当として年間MVPを複数回受賞するなどの実績を挙げ、事業企画・推進マネージャー、マーケティング部門の部門長に。株式会社ミラティブを経て、2020年1月に株式会社miraismの取締役副社長に就任。

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