メニュー

NEWS

Professional Career Interview Mr.Hirotaka Yokokura

2021.02.02 | George&Company,Inc.

「正直者が報われるような社会を創りたいんです」という言葉と共に、一点の曇りもないその表情から、彼の真摯さが伝わってきた。美容師(Beauty Artist)からキャリアをスタートさせ、IT業界へ転身。Webデザイナー、エンジニアを経て、PM/ビジネスプロデューサーへ。

「人」を見つめ、「本質」を見抜く力が彼のキャリアを創る上での強みであったことは自明であり、どんな逆境でも絶え間ない努力を重ね自身を成長させる事が、これまでのキャリアの変遷に色濃く映る。

「成果を上げる者はアウトプット思考であるのと同時に、実践的な能力を身に付け機会を得る」と耳にした事がある。横倉さんのキャリアインタビューから感じたものはまさにそれだ。そして、今なお彼は新しい道を切り開きながら自らを次のフェーズに仕向ける為、チャレンジを続けている。

 

「21世紀に重要視されるスキルは新しいものを学ぶスキルである。それ以外はすべて時間と共にすたれてゆく。」

P.F.ドラッカー

 

|キャリアの変遷

青山:キャリアシートを拝見しましたが、最初のビジネスキャリアを美容師として選ばれましたね。ただ、県内トップの進学校(偏差値71~74)に通われていらっしゃいましたが、周囲の進路と比べても異なった選択だったのでしょうか?

横倉氏(以下、横倉):そうですね。少なからず周囲の大多数とは違う進路を選んでました。家庭もわかりやすいエリート家系みたいな感じでしたね。ただ、その当時はどちらとかというと「手に職」をつける事に自身の関心があったのと、美容師という職業が「アーティスティックな技術」「接客」を極めるプロフェッショナルというのにも惹かれ、すごく自然な流れであったかと思います。

青山:美容師になるにあたって、どのようなプロセスを踏んだのでしょうか?

横倉:まず、青山や原宿にあるような美容室に自分がお客さんとして通って情報を収集しましたね。

青山:なるほど、面白いですね。

横倉:業界情報を得て、その後、専門学校へ入り卒業後に美容師として就職をしました。東京での勤務と転勤で名古屋にも行きましたね。5年ほどでしょうか。ただ、その後体調を崩し、美容師の業界を離れます。

青山:すぐにIT業界で就職をされたんですか?

横倉:とはいえ、IT業界へ行くのにはなんのスキルや経験もなかったんです。ですので、当時、丸の内にあったコミュニティースペースでアルバイトをしながら、専門学校に通いました。ただ、学校はあくまでも学校なので。社会で通用する専門スキルは身に付けられません。その頃、web業界にいる多くのフリーランサーの方々とのネットワークを広げていき、本当にお世話になりました。多くの方々と交流を持ったのですが、特に千貫りこさんからは仕事を紹介して頂いたり、とても学びが多かったです。そういった活動の中から知人の紹介で就職が出来たんです。

青山:どのようなお仕事だったんでしょうか?

横倉:有名アーティストを抱える企業のグループ会社で、webデザインやフロントエンドエンジニアの仕事をしました。ただ、小さな会社でしたので、実際にはなんでもやったんですが。そこである程度経験を積み、中小のSierに転職をしました。

青山:IT人材として初めての転職ですね。この頃からディレクション業務をやっていたようですが。

横倉:そちらの企業を通してIT業界や業務のスタンダードを学びたかったんですね。大きい規模の会社ではなかったのですが、それまでの経験を活かしつつディレクション(進行管理)をするようにもなっていました。ステイクホルダーを調整しプロジェクトを前に進めたり、コミュニケーションプランを練るような人材が周りにいなかったというのもありましたが。私の場合、美容師として接客をして身に付けていたコミュニケーション能力があったので、周囲と比べても得意だったのかもしれません。

青山:その後、上場しているベンチャーに転職をされましたね。どういった想いからでしょうか?

横倉:その頃にはスキルや経験をある程度身に付けることが出来、もっと力を試せるような環境に身を置きたかったんですね。優秀なCTOのもとでPMとして転職をしました。特に印象的だったのは、プロフェッショナルとしてのValueを発揮することですね。

青山:例えばどういうことでしょうか?

横倉:入社して1週間の新人であろうと、どのようなValueを発揮できているか厳しく問われるような環境でした。ただ、お陰で「プロフェッショナル」として組織に貢献をしているかを自問する習慣が身に付いたと思います。

青山:その後、楽天でビジネスプロデューサーをされますね。

横倉:業績不振を受け転職を考えました。当時、大企業で働く事にも興味があり、周囲からの勧めもありました。その頃には、経験を評価して頂き多くの企業からオファーを頂くようにもなっていたのを記憶しています。アクセンチュアやその他のコンサルティングファームなんかからも。ただ、自分としては事業会社でビジネスをやりたい気持ちがありました。

楽天で働いてみて気づいたのですが、それまでベンチャーでの経験が長かったせいもあるかと思いますが、大規模な組織で事業を動かしていくというより、小規模な組織の方が合っているのかなとぼんやりと考えていました。

青山:その後、イノベーションを世の中に創り出すスタートアップへの転職や、またネクストキャリアは統計データ等データ分析に強みを持つスタートアップですね。

横倉:そうですね。もともと、「人」に着目し社会を見てきました。ですので、人やアイディアの本質的な価値を定量化する技術に興味を持ったんですね。また、入社後すぐにPMグループ統括としてOKR推進、組織横断の仕組みづくりをする等、経営視点から事業推進をした経験は大きかったです。それまで組織作りにコミットするという経験はなかったので。「組織作り」による課題意識から、世の中を俯瞰してみるようになってきたのかもしれません。

青山:俯瞰してみるようになって何か変わりましたか?

横倉:そうですね。「セルフブランディング」や「発信する事」等のマーケットでの「個」としての立ち位置を意識するようようになりました。

ネクストキャリアは、元同僚経由でCTOとお話しをする機会を頂きました。CTOやCEOの考えにも共鳴をしているので、これまでの経験を活かしてモノづくり組織を創っていく事など、新たな経験が積めるのでとても楽しみです。

 

|一番大きい人生の転機

青山:これまでのキャリアを通して、人生の一番の転機はいつだったと思いますか?

横倉:常に「意思決定」を繰り返しているんで、いつも人生の転機があるんですが。特にキャリアの変遷という事では美容師を辞めた時でしょうか。体調も崩し、精神的にも辛かった中から「生きる事とは何か」、徹底的に生死に向き合った記憶があります。

青山:そうなんですね。どのようにキャリアに対して向き合ったんですか?

横倉:具体的にどんな仕事をしたいかを考える以前に、「生死」って事を真剣に考えました。人間にとって普遍的で変わらないものをつきつめて考えていたというか。そこから解像度を上げて、具体的にどんな仕事をやっていこうかと掘り下げていった形になります。ただ、この頃に掘り下げた感覚はまったく変わっていないんじゃないかと、今でも思うんですよ。

青山:こちらは当時のご自身のメモ書きですね。

横倉:この前、家のなかを整理していたら出てきたんです。自分でも忘れていたんですが(笑)

青山:既に自身の考え方のデファクトになっているようですね。

横倉:当時、人間が生きている限り変えられないものとして、「生死」は外すことが出来ない誰もが抱えている普遍的な要素だと感じたんですね。そこから一貫したキャリアを創っていくべきじゃないのかと。具体的な仕事やテクニカルな経験やスキルは時代と共に変わっていくものですし、表面的な部分をあれこれ考えても本質的ではないのかと感じていました。振り返って言語化をすると、そんな感じでしょうか。今でも、この時に掘り下げた感覚は変わっていないんですよね。

だから、キャリアを考える際に、まずは生きている限り変わらない要素を深く考えるべきだと考えています。実際、僕の場合はそうせざるを得なかったという部分が結果論としてありましたが。

 

|「大事」にしているもの

青山:ちなみに横倉さんがキャリアにおいて、又、人生において大事にしているものはなんでしょうか?なんでも。

横倉:今、思う事でいうとキーワードは「共感」ですかね。つまり、共感の和を広げていく、繋げていく。それ自体に「価値」を感じているからですかね。

青山:それはどのようなきっかけがあったのでしょうか?

横倉:シンプルに「共感」を生まない事や、共感を創れないことは「価値」がないことに等しいのかもしれません。ビジネスにおいても。どれだけそれ自体が素晴らしいことであっても、結局、意味を為さないんですよね。「人」がこの世の中で生きている限り、人が「共感」をするものを提供したり、発信していかなければ価値がないのかなと、様々な経験を経てそう感じています。

|これからどんな事をやっていきたいか

青山:今後、それらを踏まえてどのような事をやっていきたいと考えていますか?

横倉:今回の転職は「副業」前提で考えていました。それは「個」としてサバイブする能力を身に付けたいという気持ちも強かったです。また、組織作りの経験から経営の視点を取り入れたい、経営者の気持ちをわかりたいといっても、自身が経営者の経験をしてみないとわからないので、ゆくゆくは経営者の道も考えています。今後は「個」を軸にした形でこれまでのストーリーを活かし、価値提供出来る「何か」でPDCAをしっかりと回していきたいですね。

青山:ちなみに「個」としてどのようなビジネスを手掛けていきたいとかございますか?

横倉:まだイメージの段階なのですが、今、考えているのは「教育」なんですよ。それを支えているキーワードは「共感」「本質」です。共感と本質を2大テーマにした「教育事業」を将来的にやっていければなと考えています。

 

|「共感」と「本質」

青山:なぜ、教育に行きついたのでしょうか?

横倉:自分がずっと「本質」ばかりを考えていた人間というのがありますかね。キャリアがなかった頃は説得力もなかったんですが、ただ、自分がやってきたことが間違っていなかったかなと最近になって感じられていて。

それを「(あらゆる場面での)課題解決」に役立てて欲しい。むしろこれからは本質的な見方をしているかどうかが、その人のキャリアに直結すると考えていて。「本質的でない人材」がどんどん淘汰される時代になっていくんだと思うんですよ。本質的な観点や勘所をみんなが身に付けていないと生きていけない。

自分がやってきたストーリーはIT業界の中なので、そういった経験から本質的な観点として「何」が大事で、「何」が無駄か。今からキャリアを創ろうとする人達にも教えてあげられればなと。

青山:なるほど、とても有益な印象がありますね。

横倉:そうでないと、時代に淘汰されていくのは目に見えていますから。「個」として生きていく時代には、特に。自分が見て経験をしてきた「本質」的な観点から役に立つことを伝えられれば嬉しいなと。

青山:なかなか物事の本質を理解するというのは難しそうですね。

横倉:おっしゃる通りですね。だから最初は本質的な考え方をすることで、「わかりやすいメリットとかがあるんだよ」とか、伝えられればと。例えばこれぐらい年収が上がりますよ、とかでも良いのかもしれません。

本当にこれからの時代は表面的なものに捉われて生きていくだけでは、切り抜けるのが難しいなと感じています。

だからこそ、大事な事を見失わない形で本質的な教育を手掛けてみたいと考えています。

 

横倉弘隆|Hirotaka Yokokura 20代半ばに美容師からwebデザイナーへ異業種転職。その後プログラマーを経てディレクター/PjM/PdMとして中小ベンチャー、上場ベンチャー、大企業まで、様々な企業規模や事業領域で開発及び事業推進に携わる。美容師後はweb受託開発(個人事業/デザイン/フロントエンド)、中小システム開発会社(フロント・サーバーサイド開発/ディレクター)、上場ベンチャー(Re-tech/IoT/SectionManager/PM)、楽天(市場Eコマース/Producer)、J-Startupベンチャー(プロダクトPM)。現在、スタートアップでPMとして活躍中。