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Top Interview|20xx年未来の働き方 C Channel 森川亮CEO

2020.11.02 | George&Company,Inc.

「女性が活躍出来る社会を創造していきたいんです」と言う言葉が印象的だった、C Channel株式会社のCEOである森川亮氏。LINE社の社長時代、コミュニケーションアプリ「LINE」をローンチし、わずか2年で全世界のユーザー数を約1億6千万人と成長させ、現在では日本の人口の67%が利用をしているアプリとなった。日本社会の「コミュニケーション」を確実に変革させた森川氏は、2015年にLINE社のCEOを退任し、ゼロベースから女性向け動画メディア「C CHANNEL」を運営するC Channel株式会社を創業。約5年の月日を経て、「C CHANNEL」は、月間最大1億6千万再生(国内合計)、F1層を中心に国内外3,830万以上のフォロワー数を抱え、インドネシア、中国へと海外展開を果たす分散型メディアへと成長を遂げる。

4月にローンチした新サービスである「Lemon Square」は、驚くことに既に7月の時点で2,000名を超えるインフルエンサーが登録。総リーチフォロワー数は2,000万人にも上る快挙だ。日本発のフィリップ・コトラー氏が提唱する『マーケティング4.0』をリードし、グローバルで一大コミュニティの形成を予感させる「Lemon Square」におけるファンフルエンサーとはどういったものなのか。「コミュニケーション」を通して、我々の社会を想像し続けてきた希代のアントレプレナーは、日本社会に新たなコミュニケーションスタイルを創出すると同時に、かつてなかった新たな働き方を生み出している。ありふれた日常から未来を読み解くイノベーターでもある森川氏。ご自身が会社員のキャリアからスタートさせ、大手企業、グローバル企業、ベンチャー企業、起業へとキャリアを変遷させつつ、新しい働き方を模索してきた当事者としての「未来の働き方」はどのようなものなのだろうか?

|「C Channel」とはLemon Squareとは

青山:日本最大規模の女性向け動画メディアを運営するC Channel社の事業を教えて頂けますでしょうか。

森川亮氏(以下、森川):現在、C Channelは大きく分けると3つの事業に分かれています。女性向け動画メディア「C CHANNEL」やママ向け動画メディア「mamatas(ママタス)」を運営するメディア事業。「C CHANNEL」と連携したお試しECサイト「C CHANNEL STORE」やグループ子会社マキシムが運営する女性向けファッション通販「KOBE Lettuce」をはじめとしたeコマース事業。それと、インドネシア、中国で事業展開をしている海外事業になります。その他、グループ会社ではエンタメ動画アプリ「mysta」の運営もしています。

青山:日本のみならず海外でも展開するグローバルベンチャーの印象がありますね。4月にローンチしたLemon Squareはどういったものでしょうか?これまでのインフルエンサーとも異なった印象がありますが。

森川:そうですね。「Lemon Square」では、企業の商品やサービスとそれに興味があるファンフルエンサーを繋ぎ、商品やサービスを実際に試すことでファンの輪が広がる支援の実現を目指しています。企業・ブランドのファンならではの熱量の高い商品レビューは、新たな顧客を呼び寄せる貴重なメディアになり得ます。

青山:目が利くユーザーからの熱量の高いレビューは実際に何かを購入する際の参考にもなり、とても助かりますね。

森川:特にインフルエンサーの方々への特長として大きく3つあり、一つ目はC CHANNELで人気の注目コスメや新発売のアイテムを特別に提供を頂けます。

二つ目に本当にフォロワーに薦めたいアイテムをご自身でセレクトが出来、体験ができます。

三つ目は、案件によっては有償・無償があり、副業が禁止の方でもOKだったりします。各案件の詳細に関しては応募時の要綱をしっかりと調べる必要がありますが、ご利用にあたっての登録料、利用料は無料となります。

青山:登録から投稿までも非常に簡単で便利ですね。ちなみにファンフルエンサーとはどのような存在なのでしょうか?

森川:FanとInfluencerを足した造語なのですが、SNS等ですでにフォロワーがいる方で、ユーザーのエンゲージメントが高く、「憧れ」ではなく「身近な存在」として感じる事が出来るインフルエンサーの事です。ナノ・マイクロインフルエンサーとして、企業の商品を強力に「推奨」してくれる存在なんです。

青山:おっしゃる通りで、より身近な存在であるインフルエンサーが薦めてくれるものは共感が出来ますし、信頼感も増しますね。

森川:そうですね。また、登録インフルエンサーの方々も美容、ファッション、ママなど様々な分野に特化しており、掲載ジャンルも美容アイテム・サプリメント・美容家電・ママグッズなど幅広いジャンルでファンを発見できるのも特長です。

|新しい働き方について

青山:リモートワークのような働き方が日本の企業でも浸透してきたりと、新たな働き方についてどのようにお考えでしょうか?

森川:我々のようなIT企業やクリエイティブな職種は時間というより成果で評価を得た方が良いのではと考えています。そういった意味では、まさにインフルエンサー自体が新しい働き方になっているのかもしれません。時間に縛られない形で、オンラインで自身の趣味と繋がるような、商品開発やインスタグラムでの販売等をしていますし。

青山:なるほどですね。実際、御社でもリモートワーク等、オンラインでの働き方を取り入れていらっしゃるのでしょうか?

森川:弊社では営業や管理部門含めて、オンラインで対応をしています。生産性も上がり、より自分らしい生き方に繋がるのではないかなとも感じています。

青山:ご自身としても、リモートワークのような新しい働き方に関してはポジティブでしょうか?

森川:もちろんポジティブですよ。技術をどのように活かすのかがキーだと思いますが。もともとIT企業にいましたし、活用しない手はないかなと思います。我々はテクノロジーを通して未来を創造する仕事ですしね。

青山:仰せの通りですね。C Channelという企業を創造すると共に、新しい働き方を生み出すことに繋がる事業となっているかと思いますが、そもそもそれは5年前に意図していたのでしょうか?

森川:そもそもメディア事業をやろうとスタートしました。TV局にいた経験もあり、メディアってなんなんだろうというのをずっと考えてきたんですね。昔であれば大手企業や有名な人からのプロダクトアウト、創ったものをone wayでお伝えし楽しんでもらうという形だったかと思います。ただ、現代では以前と比べてニーズの細分化が起きており、「自分に近いもの」、自分事化できるようなものに興味関心があるかと思うんです。小さいニーズを満たすようなものが大事になってきていて。

まさに「(インターネットでの)検索」なのかもしれません。検索で知りたい事って、ちょっと身近で知りたい事ですよね。インターネットはPower to the Peopleを実現するツールかなと思っていて、メディアも同様にPower to the Peopleを実現するツールになってきているのかなと。これまで見向きもされなかったものが注目を浴びたり、ファンがついたりと。昔でいうとオーマイニュースというのがありまして、地方の方々が記者となり記事を作りニュースになるんですが、それこそ、LINEにいた頃は「NAVERまとめ」で、キュレーターという新しい職種を生み出してきたのかもしれません。

【参照:C CHANNEL/なりたい自分になるメイク マスク別メイク3パターン】

https://youtu.be/UZ-ypgykX10

C Channelを創業した当初は、クリッパーという新しい職種を生み出しましたが、当時は動画を作る人が少なかったですし、みなさん抵抗があったんですね。今になって、時代が追い付いてきているのかもしれません。当初より、個人が発信する時代を作ろうとは考えていたんです。

青山:時代が追い付いてきたのを実感いたします。現実、非現実を問わずで将来的にこんな職業や雇用が生まれてくるのかもしれないと、どのようにお考えでしょうか?

森川:ナノインフルエンサーの世界はそうなのかなと思いますね。皆さんがインフルエンサーになる時代となり、新しいアドネットワークの時代となって、個人の名刺の裏に広告が付くイメージでしょうか。そういった細かい点と点とのマッチングを技術が手助けし、マーケットプレイスとして成り立つのかもしれませんね。

青山:一方で、新しい働き方におけるデメリットはどのようにお考えでしょうか?

森川:そうですね、一番心配なのはアレもコレもとやる事で中途半端な人が増えないかなと危惧しますね。私の経験からも感じるのですが、ある程度プロフェッショナルになるには専門性を身に付ける為にも一定の期間その道をやり切ることが重要かと。そうでないとプロになるのは難しいのかもしれません。そういった意味で個人にあった働き方が提供できる世の中が必要でしょうね。ガラパゴス化せず、本当の意味で世界に通用するレベルでのプロフェッショナルとなり得るのかどうかが重要だと考えます。

青山:なるほどそうですね。日本の中だけで通用するスキルや経験では、長きに渡ってキャリアを構築していくのは難しいですね。

森川:また、(社内も)オンラインのみで信頼関係を積み上げるのは難しいなとも感じています。すでに関係性がある者同士であれば問題ないことも、それがない仲ですべてオンラインだと逆に不信感に繋がる可能性もあるかもしれません。ですので、新卒や中途で採用された方々のオンボーディング等もやりにくいのかと思いますね。

所謂、セレンディピティが生まれにくく、ビジネス上での偶然性が生まれにくいのかとも感じています。

青山:それらを踏まえて、御社で何か取り組んでいることはございますでしょうか?

森川:オンラインでの日報を取り入れたり、今後は私が社員との1on1を実施していこうと考えています。社員が悩んでいる事や、困っていることをいち早くキャッチしやすいように。やはり、結局、信頼関係の構築ってコミュニケーションの総量に比例(オフライン、オンライン含めて)するんだと思います。生産性が低いと言われる方もいらっしゃるかと思いますが、あくまでも「人間」ですからロボットであれば別ですが。社員とどれだけの時間を作るのかがとても重要なのかもしれません。人間はロジカルではない意思決定が多いですし、感情に訴えかけるのが重要なのかもしれません。

<後編に続く>

・森川さんが考える未来の働き方とは?

・女性が自信を持つ生き方とは?

・C Channelのクリエイティブ風景

【森川さんからメッセージを頂きました】

https://www.youtube.com/watch?v=FAH8BoqZ46A&feature=emb_title

森川 亮|1967年生まれ。89年に筑波大学卒業後、日本テレビ放送網に入社。99年、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程を修了し、MBA取得。その後、ソニーに入社。03年、ハンゲームジャパンに入社し、取締役を経て、06年10月、取締役副社長に就任。07年10月、NHN Japan(ハンゲームジャパンより商号変更)代表取締役社長に就任。同年11月、ネイバージャパン設立に伴い、ネイバージャパン代表取締役社長を兼務。13年4月、NHN Japanの商号変更により、LINEの代表取締役社長に就任。15年3月、同社代表取締役社長を退任。同年4月、C Channel代表取締役に就任。2020年5月C Channelは東京証券取引所TOKYO PRO Marketに上場。著書に「シンプルに考える」(ダイヤモンド社)、「すべての仕事は10分で終わる」(SBクリエイティブ社)などがある。